数が少ないとはいえ、営業職でも女性リーダーが増えつつあります。
皆さんの中にも、肩書のある役職にはついていなくても、チームをまとめる役割や、後輩に仕事を教える立場を任されているという方は多いのではないでしょうか。
部下や後輩と接することが増えれば、その分、人間関係のトラブルを抱えたり、職場の雰囲気づくりに苦労したりすることも増えますよね?
そんなとき、解決の仕方に迷ったり、相談相手がいなくて困ったりしていませんか?
そこで今回の営業部女子課塾では、リーダーとして無数の“修羅場”をくぐり抜けてきたという、第一生命保険株式会社の梅沢好恵さんをお招きしました。
題して「女性営業リーダーのトラブルQ&A」。
困った部下への対応や、ピンチの乗り越え方についてお話を伺いました。
梅沢好恵さま
第一生命保険株式会社 栃木支社 宇都宮営業オフィストレーナー(日光中央営業オフィストレーナー兼務)
営業活動を経て、営業チームの採用、育成を担当する管理職2004年第一生命株式会社栃木支社入社。営業職として入社10年を超えた頃、チームリーダーに任命される。
その後、成績面だけでなく優良人材の採用、育成面で選考される、“チームワーク栃木支社”代表に選出。5年目までの新人職員の育成指導をするオフィストレーナーとして。関東で最大規模の85名が所属するオフィスのトレーナーに就任。
個人としてのビジョンは、保険業界のイメージを変え、営業職を憧れられる職業にすること。
当日は参加者の皆さんからたくさんの質問が出ました。
その中からほんの一部ではありますが、Q&Aをご紹介します。
―――リーダーとして、どうやってモチベーションをコントロールしていますか?
私自身が、落ち込んでしまうことが多い方なので、あえて弱い自分をさらけ出して、共有することにしています。
「私さあ、上司からこんなこと言われて、落ち込んでるんだよね~」
「私最近、またこんな失敗しちゃってさぁ…」
そうすると、部下たちがこんな風にツッコんでくれます。
「梅沢さんまた〇〇やったんですかあ!(笑)」
「梅沢さん、しょうがないなあ(笑)」
同姓の部下が多いからかもしれませんが、こういった飾り気のないやりとりで、かえって励まされることが多いです。
―――営業は、お客様の視点をいかに想像して行動していくことが大事だと思います。部下の想像力を高めるにはどうしたらいいですか?
お客様を訪問するときなど、折に触れて「お客様をよく観察するように」と言っています。そして訪問を終えた部下には、こんな風に尋ねます。
「お客様のご自宅には何があった?」「何人家族だと思った?」
まるで探偵ですよね(笑)。
すると、契約が取れる人ほど、感度が驚くほど高く、持ち帰ってくる「気づき」が多い。
例えば、ご自宅には○○があって、だから◇◇が趣味なのかもしれない、このお客様は□□なのかもしれない、などです。想像力を働かせることで、お客様をよりよく知ることにも繋がり「その後の提案」の幅も広がることを教えています。
―――年上の部下が、上司である私を指導しようとしてくるので悩んでいます。どう対応すればよいでしょうか?
このパターン、私も本当に悩みました(笑)。そのような部下はベテランで、自我が形成されているので、やり方や考え方を変えてもらうのはなかなか難しいんですよね……。
ですからこのような場合、私は、相手に変わってもらうことを期待するのではなく、私からのアプローチ方法を変えて対応することにしました。
その方の経歴や考えに関心をもって認めたうえで
「○○さんは私より経験も豊富だから、チームメンバーのAさんとBさんの面倒をみてくれるかしら?」
と、あえて誰かに指導する役割をお願いしたりしました。
「それでも効果がない」ときがあるのも、マネジメントの現実です。
部下に頼るために「あえてできないフリ」をすることもアリかと思います。「できない」上司をみかねた部下が、「梅沢さん、もう、しょうがないなあ」と助けてくれることもありました。
―――「やらされている」感ある部下がいます。「会社がやれというから、しょうがなくやっている」という雰囲気のある部下です。どうしたらいいのでしょうか?
そういう部下には「逆質問」します。
こんな風に聞いてみます。
- しょうがなくやっている部下には、
「もしあなたが雇用主の立場だったら、今のあなたに対して、どう感じると思う?」
すると大体の場合、その部下は「ハッ」とします。
- 大人しくて従順だけれど、指示待ちの部下に対しては、
「あなたが社長で、今のあなたを雇っているとしたら、どう感じると思う?」
- 不平不満ばかりの社員には、
「もしあなたが社長なら、不平不満ばかり言う社員に対してどう思う?」
想像力を働かせて、自分を客観的にとらえると、また違う視点が生まれますよね。
―――それでも「でも~」「だって~」と反発する部下がいます。どうすればいいでしょうか?
「信頼しているからこそ、あえて言うよ?」と切り出して、ここでも逆質問です。
「もしあなたの周りに、ずっと『でも』『だって』を繰り返す人がいたら、あなたはその人にどんなアドバイスすると思う?」
本人に考えさせたうえで「そうだよね、『やってみてから、言えって思うよね?』」
相手を傷つけないように、遠回しに、オブラートに包む伝え方もありますが、それだけでは伝わらない場合も多いと思います。
部下は大切な存在だからこそ、はっきりと指摘しないといけないときがあります。ネガティブな空気が職場で増殖してしまうと、さらに事態は悪化しますから、チーム全体のためにも、ネガティブは断ち切らなきゃいけません。
―――最後に、梅沢さんにメッセージをお願いしました。
私がいる業界ならではの特色もあるかもしれませんが、チームを育成することは、いわば「人間同士のぶつかり合い」だと思っています。しかし、ぶつかり合うからこそ、信頼関係も育ちます。
また、女性リーダーになるということについては、私自身、現役の営業担当者時代は、思ってもいないことでした。
しかし、人生はわからないものです。
もしリーダーになるチャンスがあったら、チャンスを掴んでいってほしいと思います!
その後、参加者同士で情報交換会を開催。梅沢さんのお話を聞いたみなさんから、嬉しい感想をいただきました!
今まではつい、頼られる先輩を演じてしまい、部下を頼る事をしていませんでした。これからは、自分から部下に頼るという事をやってみます!
「雇用主だったらどう思う?」と部下に尋ねてみます!
自分を客観視できるフレーズを教えていただいてありがとうございました!
「営業職の女性」であるという、共通点がある私たち。
所属する会社は違うけれども、営業部女子課は、私たちが困ったときに駆け込める場所でありたいと思っています。
いいかえれば、営業女子の「心のお守り」である場所を、目指しています!
これからも営業部女子課は、「女性営業職の当事者コミュニティ」として、現場の皆さんに寄り添い、キャリアに役立つ場を提供して参ります。ぜひ今後ともご参加ください♪
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私たち営業部女子課は、みなさんのよりどころとなり、助け合い、支え会える「場」でありたいと考えています。
営業女子が決して「孤立無援」の状態にならないように。お互いにつながり、切磋琢磨しながら、少しでも前向きに歩き続けられるようにーー。